Pochitto(ぽちっト)神戸 | 街角浪漫
更新:2021.11.23
第29回---街角浪漫
自粛期間中、正直者は馬よりも肥えてしまいました。窓からの風景が季節の色を変え始めたので早速、釣られて友人2人と菊水山をめざしました。神鉄車庫からの登山道は、入口の急登が一番の難所ですが、一気に高度を上げてくれます。
幾つかのカーブを回って鉄塔が最初に見える風景は、和田山竹田城址の参道で最初に石垣が見える場所によく似ています。そこから少し行くと、昔、鈴高山岳部がテントを張っていた所。整備されて記帳所と公園になっていました。
ここは乗鞍岳山頂付近の畳平のミニチュア版の様。東北から台湾に移動する蝶、アサギマダラが、フジバカマを求めて今年最後の旅をしていると聞いていましたが探す余裕すら無く、秋の音がする乾いた舗道を登り切ってやっとこさ山頂です。鉄塔からの景色はまさに大空を飛ぶ鳥になった気分。
しかし、石を投げたら窓を割る位に見えていた県庁は松等の木々が成長しすぎて見え辛く、切って標高が変わると国土地理院の方達にはご迷惑を掛けてしまいますが、伝統は変化してこそ守られるもの、見晴らしが良い事に越したことはございません。
南を眺めると「ブラタモリ」で放送していた諏訪湖と同じ地殻変動で出来た明石海峡と淡路島が一望。この日は大阪湾に雲海がたなびき、金剛山を始め紀伊山地が雲上に抜けて、さながら雪舟が描いた墨絵の世界。半月の海岸線に沿って白く丸い絨毯が敷き詰められた風景は、函館本線を走る北斗号の車窓から見えた、噴火湾沿いに室蘭に向って延びる海岸線の絶景と同じやないですか。
ここに登るだけでさながら全国旅行。コロナの野郎め、如何なる事にも興味を持つ好奇心と想像力、決してハードルの高くない達成感が有れば心と体は十分満たされるんじゃい。
しえりちゃんという小学生のお友達がいます。初めての事が多いからでしょう、体験談や出逢った人の事など沢山お話ししてくれます。なんとなく解るような気がします。下山は勿論、40数年前、年に数回は通い慣れた鈴高に降りる道へ。ですが、全く記憶も無く、さまよった挙句、掘りたての猪の穴が道に幾つも有るのを発見するや否や、校舎のプール裏に出る道すら見つけられずすたこらサッサ下山しました。
作 山善寿司 大将